〜MRIによるがんのスクリーニング診断〜






 約15年程前に、高原太郎現東海大学医用工学教授が、体幹部の拡散強調像というユニークな撮像法を開発しました。この方法で全身のMRI画像を撮りますと、体幹部に生じたがんの病巣を明瞭に描出することができるのです。これは、がんの病巣内では水分子の動きが正常組織と比べて低下するため、がんの病巣を異常信号としてはっきりととらえることができるからです。
 
得られた画像は、原理はまったく違いますが、PET(陽電子放射断層撮影)の画像によく似ています。その後、MRI装置の進歩改良とともにこの撮像法が全身を対象としたがんの転移の検索、またはがんの拾い上げなどを目的に、少しずつ普及してきました。

 この検査法は前処置が不要であり、短時間で終了します。また、X線被曝がなく繰り返して行えます。そのため、身体的および経済的な負担が少なく、がんのスクリーニングを行うのに適しておりますので、がんが気になる方、またはがんの危険因子の高い方にお勧めできる検査法です。